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2022年10月から社会保険はどう変わる?対象者やメリット・注意点などを解説
2023.6.12

2022年10月から社会保険はどう変わる?対象者やメリット・注意点などを解説

2022年10月から「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律」により、社会保険の適用が拡大されます。この改正により、配偶者の扶養の範囲(アルバイトやパートタイムなど)で働かれている方も、一定の条件を満たしている方は社会保険に加入する必要があります。
今回の社会保険適用拡大により、いくつかのメリットがあります。その反面、これまでよりも保険料負担が増えてしまったり、配偶者の扶養から外れる手続きが発生したりと心配になる方もいらっしゃるでしょう。

本記事では、2022年10月から変わる社会保険の変更点や、加入条件について説明していきます。社会保険加入の詳しいメリットや注意点についてもお伝えするので改正後の社会保険が気になる方は参考にしてみてください。

2022年10月の社会保険の適用拡大で何が変わる?

2022年10月より、配偶者の扶養の範囲(アルバイトやパートタイムなど)で働いている方に対する社会保険の適用拡大が行われます。今までは、週の所定労働時間数または月の所定労働日数が正規従業員の4分の3以上になる場合は社会保険に加入する必要がありました。また、以下の要件をすべて満たす場合も、社会保険加入の対象となるので確認しましょう。

<社会保険の加入要件>
・501人以上の事業所であること
・週の所定労働時間が20時間以上
・月間賃金が8万8千円以上であること
・継続して1年以上の雇用が見込まれること
・学生でないこと

多様な働き方が浸透していくにつれ、配偶者の扶養の範囲で働いている方は増加しています。そのため、社会保険の加入要件を緩和し、より多くの労働者が加入できるように社会保険の適用拡大が行われるのです。2022年10月の改正では従業員数と雇用期間の2点が変更されます。

【2022年10月の改正点】

なお、2024年10月にも適用拡大が予定されており「従業員数101人以上の勤め先」が「従業員数51人以上の勤め先」に変更される予定です。

社会保険適用拡大の対象者の条件

社会保険適用拡大により、以下の要件をすべて満たす方はは社会保険加入の対象です。

1.週の所定労働時間が20時間以上であること
2.月にもらうお給料が8万8千円以上であること
3.2ヶ月以上働く可能性があること
4.学生でないこと

それぞれ見ていきましょう。

週の所定労働時間が20時間以上であること
1つ目の条件は、週の所定労働時間です。所定労働時間は、残業時間などを含まない、契約上の労働時間が20時間以上になる場合を指します。もし所定労働時間が週20時間未満でも、実労働時間が2ヶ月連続で週20時間を超え、さらに引き続き20時間を超える場合は、3ヶ月目から社会保険が適用されます。
月にもらうお給料が8万8千円以上であること
2つ目の条件は、月にもらうお給料が8万8千円以上であることです。この8万8千円以上は、基本給と諸手当が対象です。なお、以下のような賃金は含まれないので注意して確認しましょう。
・結婚手当
・賞与
・時間外労働手当
・休日・深夜手当
・皆勤手当
・通勤手当
・家族手当
など
2ヶ月以上働く可能性があること
3つ目の条件は、2ヶ月以上働く可能性がある点です。今までは「継続して1年以上の雇用見込み」ですが、2022年10月以降はフルタイム労働者と同じ「継続して2ヶ月以上の雇用見込み」に変更されます。2ヶ月以上働く可能性がある場合は、初回のご契約開始日から社会保険への加入を必要としますが、2ヶ月以内の期間を定めて働く場合は適用されません。
2ヶ月以内の雇用期間でも、雇用契約書に更新の可能性が記載されていたり、なんらかの理由で延長されたりする際にも、社会保険の加入が必要となります。
学生でないこと
4つ目の条件は学生でないことです。高等学校や大学・専修学校・各種学校(修業年限が1年以上の課程に限る)の学生は、社会保険の加入対象者から外れます。ただし、以下に該当する場合は、学生でも社会保険が適用されます。

新たに社会保険に加入するメリット

社会保険適用拡大により、配偶者の扶養の範囲(アルバイトやパートタイムなど)で働いている方が新たに社会保険に加入するとどのようなメリットがあるのでしょうか。メリットは以下の2つです。

1.年金が2階建てになり保障の幅が広がる
2.病休期間中や産休期間中の手当が受け取れる

それぞれのメリットを説明していきます。

年金が2階建てになり保障の幅が広がる
基礎年金に加え、厚生年金が受け取れます。上乗せされるのは、老齢厚生年金・障害厚生年金・遺族厚生年金です。
■老齢厚生年金
国民年金の老齢基礎年金に上乗せされるため、国民年金のみの加入者よりも給付額が増えます。
■障害厚生年金
障害等級1級または2級に該当する場合、障害基礎年金に上乗せして障害厚生年金が支給されます。また、障害等級が3級の場合でも、障害厚生年金であれば一時金が支給されます。
■遺族厚生年金
遺族基礎年金は、要件を満たす子または子のある配偶者が受給対象です。遺族厚生年金では受給対象者の範囲が広がり、要件を満たす子・配偶者・父母・祖父母・孫が受け取れます。
社会保険に加入することで、国民年金のみ加入している場合よりも給付額や保障の幅が広がる点はメリットです。
病休期間中や産休期間中の手当が受け取れる
社会保険へ加入すると医療保険がさらに充実し、傷病手当金と出産手当金が受け取れます。
■傷病手当金
傷病手当とは、被保険者が病気やけがで仕事を休んだ際、被保険者とその家族の生活を守るための制度です。傷病手当は給与の3分の2相当を受け取ることができ、受け取りを開始した日から通算1年6ヶ月まで受け取ることができます。
■出産手当金
被保険者が出産のため会社を休み、産休期間中に給与を受けられない場合は、給与の3分の2相当の出産手当金を受け取れます。支給される範囲は、産前42日・産後56日の間となります。

新たに社会保険へ加入する前に確認すべき注意点

社会保険の加入は、年金が2階建てになり医療保険が充実する点がメリットです。しかし、社会保険料は給与から天引きされ、2階建て部分は会社と折半して支払われます。これまでより手取り額が減る点には注意が必要です。

また、健康保険の被扶養者から外れることで、保険料の支払いが増えます。配偶者の扶養に入っている場合、健康保険と国民年金の支払いは不要です。しかし、社会保険に加入すると支払いが必要となるため、家計単位での保険料の負担が大きくなります。

社会保険加入に関するよくある質問

社会保険への加入について、よくある質問を見ていきましょう。

Q.扶養から外れる際の手続きは?
勤務先を通して「被保険者資格取得届」を提出します。健康保険と国民健康保険の両方に加入するため、マイナンバーカードや年金手帳を準備しましょう
Q.扶養に戻る場合は?
扶養に戻る際は、勤務先に扶養家族が増える旨を伝えてもらい、「被扶養者異動届」と「国民年金 第3号被保険者関係届」を提出します。その際、続柄を証明する書類や収入が記載されている書類も必要です。
Q.健康保険は任意継続できる?
勤務先を退職して被保険者資格を失った場合でも、下記の要件を満たす場合は本人の希望により継続可能です。
・資格喪失日の前日(退職日)までに継続して2ヵ月以上の被保険者期間がある
・資格喪失日から20日以内に「任意継続被保険者資格取得申出書」を提出する
Q.社会保険に加入したくない場合は?
社会保険に入りたくない場合は、「月にもらうお給料を8万8千円未満にする」と「週の所定労働時間を20時間未満に抑える」の2つの方法があります。勤務先と働き方の調整を検討しましょう。

まとめ

社会保険の適用拡大により、条件を満たした配偶者の扶養の範囲(アルバイトやパートタイムなど)で働いている方にも社会保険への加入が義務付けられます。

2022年10月の改正点は、従業員数「501人以上の事業所」から「101人以上の事業所」へ、雇用期間「1年以上」から「2ヶ月以上」の2つです。社会保険に加入すると手取り額は減りますが、将来受け取れる年金額が増えたり、保障の範囲が広がったりする点はメリットです。

改正により、新たに社会保険の加入対象となる方は、社会保険のメリットと注意点を知っておきましょう。

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